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TACE(塞栓療法)今がチャンス

11月6日朝、大阪・淀屋橋のビジネス・ホテルを出てなんば(難波)へ向かう。地下鉄の乗客にぼつぼつマフラー姿の若い女の子、冬が近づいているのを実感する。なんばで南海電車に乗り換えさらに高野山方向へ南下する。近大病院は金剛という急行停止駅からさらにバスで25分の新興住宅街の丘の上に聳え立つ。巨大な医療コンプレックスだ。

いつもの通り診察カードを機械に突っ込みその日の患者登録。採尿、採血を終え、CT撮影室の前の椅子で呼ばれるのを待つ。2年近く通っているから病院内も慣れている。相変わらず患者と付き添いで溢れている。いうまでもなく高齢者が多い。それだけに白衣の医師や看護師、検査技師らは若く、眩しく溌剌と見える。

この日、大きな転換があった。治験の部屋で待ての指示。5時過ぎ、主治医の工藤教授がやってきた。
前回書いたように今は「レンビマ」という抗がん剤を飲んでいるが、治験のとき受けた免疫療法の薬効が6か月くらい体内で効いている間にTACE(塞栓療法)という手術をするとガン細胞を抑えることができるそうだ。この治療法を医師連中は「兵糧攻め」と呼んでいる。手術と言っても局部麻酔で右鼠径部の大動脈に穴を開け、細いカテーテルを肝臓まで差し込み、ガン細胞にピンポイントで抗ガン剤を吹きかけ、血管を塞ぐというもの。血液と栄養が止められるのでガン細胞は大きくなれない。この術式でガン細胞が消えることも報告されている。
これはこのブログの初期に書いたから記憶している読者もいると思う。ガンが発見された時、すぐ茅ヶ崎市の病院で受けた手術だ。だから今回は二度目になる。ほぼ20年と歴史あるガン治療だが、取りあえず大きなガン細胞をこれで抑え込み、上手くいけばガン細胞を死滅させることもできた症例もある。工藤教授は「レンビマ」を飲んでいる間にこの手術をすると効果が大きいと説明した。
世界の最先端をゆく肝臓ガンの専門医学者で、毎回、彼の論文が発表されると世界中でガン医療者が注目する。翌日、朝からチューリッヒに飛び数日滞在、帰途、バンコックに立ち寄り、日本に戻ってから再びチューリッヒへ飛ぶというスケジュールだそうだ。これでは医者の不養生の典型ではないか。

TACEは早くやった方がいいのだが、教授ご本人が立ち会いたい、とおっしゃって、彼が空く27日が最短で、この日を手術日と決めた。予定していたスケジュールをすべてキャンセルして26日に入院することになった。27日にTACEを受け、月末か12月初めには退院できると思う。今回の処置を唐突と感じた方々も多いと思うが、ぼくは以前、工藤教授からこのアプローチを聞いていた。「今がチャンス」というのが工藤教授の説明でした。

ガン治療の方法は多種あり、今は工藤教授にお任せするしかないと思っている。上手くゆけば12月上旬には普段の生活に戻れると思う。
ガンの研究、臨床では医学界は免疫療法をいったん諦めたのですが、ノーベル賞を受賞した本庶佑・京大名誉教授が1992年に偶然、発見した「PD-1」という物質で、免疫療法がガン医学の世界で息を吹き返している。話題となった小野薬品が開発した免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」がそうだ。

同様の免疫療法だけでアメリカのNIH( 米国立衛生研究所) は1000件の治験の術例が報告されていると本庶博士は書いている。(本庶佑著『がん免疫影療法とは何か』岩波新書)

ぼくはガン患者になってみてようやく少し「ガン細胞」という厄介な腫瘍(デキモノ)が分かりかけてきた気がする。同時に少し分かればわかるほどガンの正体、本質は分からなくなるのも事実。ガンは人間という「生物の不思議」を実現している細胞と言える。


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北岡和義事務所

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